Reki997の忘備録

思いついた事とか考えてる事とか

日産の未来

タイトルでデカいこと書いちゃったけど、あくまで僕の見方ということで…

 

日産自動車がヤバいというのは皆が知ってることだと思うんだよね。それは今年春の決算を見りゃ分かる。売り上げは10兆切っちゃったし、ギリ黒字で踏みとどまってるように見えるけど、数字こねくり回した結果じゃないかなと。

で、じゃあなんでこんなことになったのか。それはもうラインナップの旧態化にほぼ尽きると言っていい。HPを見に行けば分かる話だけど、信じられないくらい新型車が無い。いや確かに無いことはないんだけどね。共同開発のルークス・デイズとか、キックスとかね。ただ、事実として軽自動車を入れても直近3年で出てきた新型車は4台のみで大きい方からリーフ、キックス、ルークス、デイズ。

日本市場に限ったとはいえ、4台しか出してないんだよね。無論、ワールドワイドにはもうちょっと新型が出てて、ジュークみたいに今日本で出さなきゃどうすんの…っていう車もある。

こういう新型が全然出ない問題があれば当然、ラインナップの高齢化も進んでる。スポーツカーのGT-RとZがデビューから10年を優に超えているのはまぁ許す(いやスポーツカーでも普通あり得ないが…)が、販売台数のパイが大きいノートは既に9年目だし、今人気のSUV系で言えばエクストレイルも7年目。ジュークはワールドワイドでは2代目が出てるのに日本市場では終売してしまう体たらく。これ以外もフーガは12年目。

ここまで高齢化が進んでくると、当然買い替え需要をどんどん逃していくことになる。最近の平均車齢は8.5年位(解釈が難しいがここでは乗り換え年数とする)なので、日産車ユーザーが買い替えに来たら前買った車の同型がまだ売っている!?なんてことが珍しくなくなってきていると思われる。果たしてそんな状況でユーザーがまた日産車を買ってくれるかというかと…難しいですよね。e-powerの指名買いとかでなければまず無理でしょう。

こんなことになったのはどう考えてもゴーンの責任で、実際経営危機からの復活は見事なものではあったものの、結局はコストカットをしただけというね。それ以降の経営で良かった点は特になしという印象。肝いりだったリーフを始めとするEVは全部コケて、挙句に北米で訴訟騒ぎにまでなってる始末。バッテリーの温度管理を甘く見たツケはあまりにも大きく、完全に欠陥だよね(結果的に初代リーフ以降のEVにはちゃんと冷却システムがついている※e-NV200だけでした。2代目リーフにも冷却システムはありません)。販売台数でもボロボロで当初の目標には遠く及ばなかったりと散々な結果だった。

問題はEVに固執するあまり他の開発が疎かになっていたことに尽きる。ルノー日産でアライアンス組んでるんだから、効率的に開発が分業できていればこうはならなかったはずだが出来なかったようで。

結果として残ったのは古いプラットフォームに旧態依然としたラインナップ、不良財産になりかけてるEVコンポーネントだけ。

この不良財産になりかけてたのを上手く調理して、上手く販促出来た結果が今のe-powerなワケだけど、そのラインナップ拡充も牛歩レベル。ノートにe-powerが追加されてもうすぐ4年が経ちそうだけど、まだ3車種しかないからね。

要は明らかにドル箱になりそうな分野に対しても全然投資が出来ない程財務が悪化しているか、経営が混乱してまともな判断が出来ていなかったことを表していると僕は見ている。

 

そしてこのラインナップの高齢化に追い打ちをかけたのは北米市場で起きたあれこれ。

手を出してはいけないと言われているレンタカー等の業界に手を出したために販売台数と引き換えに安く買い叩かれ、ラインナップの高齢化を隠すために拡充されていた販売インセンティブを大幅に削減したことで大幅な値引きが出来なくなり、販売台数がガタ落ちしたのである。

無論これもラインナップの高齢化がもたらしたことで自業自得なわけで…どう取り繕っても結局はこうなる未来だったのかもしれない。

 

と、長くはなったがここまでが現在までの話である。要はコストカットに成功して経営を改善したまでは良かったけど、その代償として多くの開発プロジェクトを切っていたわけで、集中投資したEVとADASは除き、特にシャシー関連が殆ど進展しなかったためにラインナップが旧態依然とした状態になり、そこに北米での戦略ミスも降りかかってきたということでした。

 

それではこれからの将来の話、僕の予想を話しましょう。

結果から話すと5年以内に深刻な経営状態に陥るのではと予想しています。

理由としてはいくつかあって…

・古すぎるラインナップ

・集中しすぎた開発

・アライアンス自体の弱さ

・中国依存度の高さ

・ARIYA

が挙げられます。ひとつずつ話していきます。

 

①古すぎるラインナップ

火を見るよりも明らかですが、日産はプラットフォームの新造が遅すぎました。その結果としてフルモデルチェンジがなかなか出来ず今に至るわけですが、今ある古いラインナップを全部交換しようとするとめちゃくちゃお金がかかるわけです。それが出来る体力が果たして今の日産にあるか…とても怪しいと思っています。実際、今年の決算では開発費用自体は増えていましたが、プラットフォームをいくつも新造できるレベルのものではありませんでした。もしかしたら既存のプラットフォームを改良してお茶を濁すつもりなのかもしれませんが…。

 

②集中しすぎた開発

ここ10年以上、日産はあまりにもEVに傾倒しすぎていると感じます。結果として内燃機関とEVを繋ぐHV技術がろくに無く、HV市場をそのまま取り逃す結果になっています。結果としてe-powerを生み出すことに成功しましたが、拡充が遅すぎるので暖簾に腕押しという感じでしょうか。

 

③アライアンス自体の弱さ

はっきり言って弱者連合だよねwって感じ。アライアンス結成後のルノーの経営は地に落ち、それを埋めるために日産株の配当で数字を操作してたせいで開発ろくに出来なかったんじゃないの??そうじゃなくともルノーが弱すぎるからどうしようもない。アライアンスの強みを生かして分業できればまだ違ったかもしれないが、上手く行かなかったからこうなってる。これから上手く行く保証もないし、そもそも上手く行っても復活出来るか分からないですからね。

 

④中国依存度の高さ

これ実はかなりやばい。というのも日産は販売台数の3割を中国市場に依存しているわけですが、その中国市場の全販売台数が2019年に遂にマイナスになりました。これがどういうことを表しているかというと、既に中国の経済情勢が悪化していることを意味しています。中国経済が実はヤバいヤバいと言われつつも2018年までは販売台数は伸びていたわけですが、COVID-19の影響をそんなに受けていないはずの2019年の販売台数がマイナスになったと。加えて米中間の衝突もあり間違いなく2020年も販売台数は減るでしょう。仮に米中間で修復不可能な亀裂が起きた場合には米国の同盟国である日本や欧米諸国の企業も手を引く他無い状況になる可能性があります。そうなった場合、日産は売り上げの3割以上を失うことになります。問題はこうなる可能性が低くないことです。

 

⑤ARIYA

実は日本のHPに行くと既にラインナップに入ってたりします。まだ売ってねぇだろ…。そもそも販売時期も未定です(2021年中と言われてはいますが)。問題は中身ですが、テスラモデルYと被るんですよねこの車。そうなるとユーザーとしては利便性やデザインが購入の決め手になるのではないでしょうか。

そうなるとこの車は厳しい。利便性で明確に差が出てくるのが充電で、テスラは自社の車両専用のスーパーチャージャーがあるが日産にはない。充電性能を同等にするためには高速充電インフラをすぐにでも拡充しなければならないわけだが、来年までに間に合うんですかね?間に合ったとしてもそのコストに見合うものなんでしょうか。

無論、この程度の欠点はあっても仕方ないかもしれない。ただ問題なのはこれ以外に目を引く新車情報があんまり無いこと。昨年の決算時に今後数年で20車種以上を投入すると言っていたが果たして…。

最後に、EVを推すのはいいけど実際問題内燃機関が即入れ替わることは絶対に無いのでやっぱりHV等の繋ぎをどうするかにかかっている気がします。

 

以上が日産の経営が危うくなるんでは?という予想の根拠ですが、中国の情勢を加味して5年以内という数字を出しました。仮に中国が絡まなくても将来は明るくはないでしょう。既に経営健全度が地の底に落ちていますからね。

 

終わり