Reki997の忘備録

思いついた事とか考えてる事とか

M96/97 シリンダー&ピストン齧り問題のあれ

表記の問題、どうしよ~ってこの数か月頭を悩ませてた。

といっても現状症状は出ていないし、今後も症状が出なければ問題ないと言えばないんだけど、下道をほぼ走らない(ストップ&ゴー回避)や走らせるのも夜間だけ(高速の渋滞回避兼夏場の熱対策)といったちまちました努力もしているので、出来ればそういう努力とか、悩みから解放されたいなと思っている。

 

というわけで、今回は具体的な対策を調べてきたので、将来問題が出た時に振り返れるようにまとめておこうと思う。

 

①純正アルミシリンダー除去&鋳鉄シリンダー打ち込み

日本で一番メジャーな方法がコレ。ポルシェチューンで有名なプロ〇デットのコンプリートエンジンもこれだし、その他の色んなショップさんでもやられているようでそれなりに実績がある。日本で、日本の技術で修理するなら多分これ以外の方法は費用面で非現実的だと思う。

上記のコンプリートエンジンは本体200万+工賃で大体250~300見とけばいいと思う。(以前見た時は100+α位の金額だった記憶がありますが…コンプリートエンジンなので他にもノウハウがあると思います。多分。)その他のショップなら多分そこまでかからないと思われ。なんでってやってることは大したことが無いから。シリンダー削って鋳鉄のシリンダーを新しく圧入してボーリングするだけ。

ただ、この方法の問題は完全な解決策ではないと思われること。シリンダーとピストンが齧るという事象に対する解決策じゃなくてあくまで対症療法でしかない。鋳鉄のシリンダーにしてシリンダー剛性を上げ、変形を抑えたとしても、ただの鉄シリンダーなので普通に摩耗します。なので遅かれ早かれまた同じ現象が起きる可能性がある。でももっとヤバいと思うのがアルミと鉄の熱伝導率を考慮していない方法であること。元々熱管理に問題があるエンジンに熱伝導率がさらに低い鉄シリンダーを入れるということがよくない。熱が厳しい456番バンクが鉄シリンダー化によってどうなっているか…正直想像もしたくない。

※ちなみに、最近のエンジンで鋳鉄のスリーブが鋳込まれていたり、鋳鉄のエンジンブロックが殆ど無いのは、上記の熱の問題や耐久性が原因。アルミの方が熱伝導率が高いので熱管理がしやすく、またメッキ技術の進歩でアルミのメッキシリンダーの方が耐久性が高くなっています(キチンと管理されていれば)。また、熱伝導率だけじゃなくて熱膨張率もアルミと鉄では違うので、アルミブロックに鉄スリーブの組み合わせだと最終的にガタガタになってスリーブが抜けます。カワサキのZ1なんかがそう。最近だとスリーブの地肌をザラザラにした上で鋳込んでいるのでそんな問題は出ませんが。逆に言うとM96/97の修理では単純な圧入なので将来的にガタが出る可能性が高い。

 

②純正アルミシリンダー除去&アルミニカジルメッキシリンダー打ち込み

これは日本ではやっていない方法。具体的にはアメリカのLNエンジニアリングが提供している修理方法。

LN Engineering - Performance Aircooled Cylinders, IMS Bearing Retrofit Solution, Porsche® engine upgrades

サイトを見ればわかるけど、日本でやってるような伝統的な修理方法じゃなくてちゃんと理論にのっとった修理方法なのが分かる。ポルシェ純正のアルシルメッキでは地肌がアルミであり、ピストンとシリンダー共にアルミなのが災いして互いに削れまくるのだが、ニカジルメッキは地肌がニッケルなのでアルシルとは比較にならない程摩耗に強い。問題を克服した!と書いてあるのが気になるが、鋳鉄のシリンダーに打ち換えるより優れた手法だと思う。打ち換えられたブロックが大体ピストン&コンロッド込みで5000ドル程度なのも強い。日本で、日本の技術で修理するより断然安上がりになると思う。

ただ、この方法も問題を完全に克服できているとは言い難いと思う。アルミシリンダーなので純正同等の熱管理性があるのは良いし、油膜さえ切れなければ半永久的な耐久性があるのも良い。だけど、根本的に熱的に厳しくなる原因に対してのアプローチは何も無いので、最終的には同じ問題が出てしまうと思う。何年かかるのかは分からないけどね…。

個人的には、M96を積み続けるならこの手法で決まり。鋳鉄スリーブはコスト的にも耐久性的にも疑問符がつくので。

 

③シボレーLSシリーズスワップ

自分がやるならもう絶対コレ。確かにフラット6サウンドを手放すのは痛いしポルシェエンジンという肩書を捨てるのも痛い。それでも将来的な発展性を考えるとコレしかない。ちなみにレネゲードハイブリッドというショップが既に載せ替えキットを販売しているのでワンオフな部分はそんなに必要ないです。

Renegade Hybrids

キット全部で大体1万ドル、クレートエンジンが8000ドルと考えると輸入して日本のショップにお願いする工賃諸々考えても3~4万ドルで実現可能だと思う。となると①の日本で日本の技術で修理するのメリットって多少安いのとポルシェの純血を守れること位になる。そうなるとそもそも欠陥のあるM96を積み続けて問題の発生にびくびくするよりかは、パーツもノウハウも豊富なLSに積み替えた方が良いんじゃ?ってアメリカ人も考えた結果が上記のキット。

問題はスワップの作業を請け負ってくれる店があるかっていう点と実際の費用といったところ。少なくとも一番安価な修理方法じゃないのと、日本でやったっていうのもまだ見たことが無いぽいからね(空冷はあるけど水冷は未確認)。だけどそんな課題を覆すくらいのメリットがある。エンジン単体の耐久性に加え、チューニングへの適性の高さ。これはM96と比べて天と地ほどの差がある。費用の高さや燃費の悪さと引き換えにしても、やっぱLSスワップしか無いなと思ってる。

 

以上が2021年11月時点での個人的M96/97の修理まとめ。多分他は無いと思う。