Reki997の忘備録

思いついた事とか考えてる事とか

300km/h

300km/hを出せる車にする

っていうのが最終目標なのは変わらない。ギア比を変更することが実質的に無理な関係で、現実的な線は最低400馬力、8000レブのエンジンを作ることだと考えてた。

そのために基本設計にいくつもの懐疑点があるカレラ系のM96を捨てて、シボレーLSを高回転化する方法がベストだと考えてた。

だけど風向きが変わってきたという話。

クロスプレーンV8のドロドロした音がイマイチ好きになりきれなかった僕は、ずーーーっとM96で行く線を捨てきれずに調べまわってた。

そんな時にLN Engineeringがクローズドデッキのシリンダーを販売していることに気づいたんだよね。これ、前見たときは間違いなく無くて、明らかに最近販売開始された感じ。しかも以前からクローズドデッキ化に成功していた英Hartechのものとは形状が違うオリジナル品。

Hartechはイギリスにあるので、出来ないことはないけどちょっと輸送関係が難しそうだったのが、米国となれば話は違う。かなーーーり個人輸入もしやすいし既にルートが確立されてる。しかもシリンダーブロック単体で売ってくれるのが最高。

しかもM96で8000回るエンジンはすでに世に出てる。FlatSixInovation(FSI)が組むコンプリートエンジンの一部は8000対応である。

 

ここで冷静になって考えると、LSスワップにより魅力があるとは言えなくなってきた。

 

まずトルクの問題。

というのも純正ミッションは許容できるパワーが大体600馬力らしい。ってことから考えると許容トルクも似たような600N/mかと思われ。
つまりどんなベースエンジンを積もうが600馬力&600N/mで打ち止め。
問題はトルクでLSをベースにしたとき許容トルクに余裕が全く無いか、もしくはほぼ無くなってしまう。許容トルクギリギリでなんて運用したくはないので、そう考えると平気で6000ccあるLSをベースにするのはミッションの耐久性的に厳しい。

 

続いてLSエンジン自体の問題。

そもそもLSで8000回すのはハードルが高い。なんだよじゃあなんでLSスワップを考えてたんだよって話になるが、ハードルが高いだけで不可能ではないし、各種部品も豊富でメンテナンス費が抑えられるというのが大きかった。

ただ現実的には8000回せるLSを作るのは難しいかもしれない。なにせLSの生みの親、シボレーが作る量産LSシリーズのうち、最も回るLS7ですらレブは7000なのだ。

8000回せるLSというのは、LS3ベースで4.8のクランクを流用した5.66L仕様のことを言うのだが、果たしてこいつを日本で正しく組めるかというと、ちょっと難しいかな?と思うようになってきた。

というのもLSは近代的な形式のエンジンとは言い難く、前時代的な1カム16バルブのV8である。バルブはすべてプッシュロッドとロッカーアームを介さなければならない関係上、これらを精度高く組めるビルダーが日本に居るか…?そもそも精度高く組めたとて、安心して回せるだろうか、と。

居ないことはないんだろうけど、ちょっとリスクを取りすぎかなと思うようになってきたのだ。元来6000半ばがレブのLSを8500まで回せるようにするチューニングは素晴らしいと思うが、(LSスペシャリストが組むならいいが)日本でやるには技術的難易度が高すぎないか?と思うようになってきた。

 

さらに費用面の問題もある。

日本で8000まで回せるLSを組んで車検まで取ろうと考えると、どう考えても600~700万くらいはかかると思う。単純にスワップするだけなら400万位でも出来るかな?って感じなのだが、そこにエンジンのビルドも含めるとこうなると思う。

ちょっとコスパ悪すぎないか?

それならM96をOHがてらクローズドデッキの4Lエンジンにして、ハイカム積んで8000回せるビルドを組むほうがはるかに低コストでかつ実現性も高いと思う。M96はOHだけなら200~300万(某ショップのコンプリートエンジンでさえ300万でお釣りがくるらしい)っぽいので、OHの際に色々仕込めば遥かに実現性高く、コストも抑えて300キロマシンを作れそうである。

なんならM96だって元々7300のレブ(あの設計で、である)であることを考えると、シリンダーを強化してバランスよく組み上げれば8000だったらなんとか許容できるラインな気もする(実際FSIがそういうエンジンを売ってるわけだし)。日本国内でもM96系の修理やリビルドはある程度数もこなされている現状を考えると、M96を精度高く組み上げるほうが良くないか?

 

っていうような思考実験の結果、LNの4Lクローズドデッキシリンダーを使った8000レブ仕様をOHの際に組むってのが現状の答えになった。

そこにLSの大排気量がもたらすトルクや、プッシュロッドを高回転で回す不安はいらない。っていうのが今の答えだ。

 

※1とはいえM96のベースの設計の悪さは明らかで、水平対向なのにクランクがクランクケースに直接支持されていなかったり、シリンダースタッドボルトが不等間隔に設置されている等、大パワーに耐えうる設計ではないことは明白である。しかしながら、NAで400馬力程度なら問題ないかと思われる。なんなら加給して500出しても大丈夫だろう。実際500弱出せる過給機キットが出てるわけだし。そもそも996のM96だってX51バリアントのカレラパワーアップキットを組んでいれば345馬力になるわけで、パワーに負けて壊れるっていうことはなさそうである。

※2クローズドデッキ化に伴う冷却性の低下は元々冷却性能が厳しいM96では看過出来ない問題であると思われ、EWPの投入や完全なドライサンプ化も視野に入れる必要があるかもしれない。最低でもEWP付けて温度管理は必要に思う。

 

 

 

 

M96.03 LS swap 自分用リスト

やるやる・やりたいやりたい詐欺のV8swapの話、先日のクラッチOHとフライホイール交換で駆動系が100%の状態になった996に乗っていよいよ開始しようかなという気になった。

同じ車好き、エンジニアとしてどうしてもポルシェのエンジニアが考えるベストな状態の駆動系を味わってみたかったんだよね。

LSswapしちゃったら少なくとも元には戻れない…。ポルシェのエンジンを積んだ状態には…。ってことで100%の状態にするために車体購入時より指摘されていたクラッチ周りの交換に踏み切った。お金はかかったし遠回りになったけど良かったと思う。自分で納得できたから。(とはいえ30万はかけすぎたか?)

 

ということでSwapの件に戻る。
実際のところ、物理的に換装するのは簡単なんだけどそっから車検をとって公道で不満なく走れるようにすることが大変だと思っている。

というのも予定しているECUアメリカでしか使われてなさそうなフルコンだから。PRO-EFIって何??って感じ。一応LS向けのベースセットは込みで販売されてるけど、ちゃんとセットアップできるショップを探すのは難しそう(というかちゃんとセットアップしないと排ガスとかで車検が厳しいと思う)。

 

一応フルコンを使わずにやるソリューションを提示しているキットもあるので、場合によってはそっちになるかもしれないと思っている。ということで以下がSwapに必要なリスト。

 

1. 最低限

・キット(CPE or Renegade Hybrid)

・ハーネス回り(CPE or Renegade Hybrid)

・中古エンジン(ヤフオク or ebay)

・排気系(おそらく一部ワンオフ

ECUセットアップ費用

 

2. +OH

中古エンジンをそのまま載せるのはまずいでしょってことでエンジンのOHをプラスするのがプランA

 

3. 4.8Crank turning

実はこれを本命にしたい。予算次第だけど…
LSにはいくつかストロークが存在していて、一番短い4.8用のストロークのクランクを6.0とか6.2に突っ込むチューニング。なぜこれをやりたいかというと300km/h出せる車に仕上げたいから。今のところメーター読み290ってところなので、実測300出すならメーター読み315位は欲しい。ただし純正のパッケージだとギア比が足りないorエンジン回転数が足りないという状態になる。で、エンジンの設計上どう考えてもレブ8000とかまで回すのは難しそうなのもLSswapに踏み切りたい理由。

とはいえこのチューニングは正直同時にやるのは難しそう(主に費用面で)。

 

ってことで今のところプランAの最低限+エンジンOHを考えてる。

 

盗難多いね

最近じゃないけど盗難多いよね~

毎回思うんだけどなんで車のカスタムやチューニングにお金はかけるのに盗難対策にはお金をかけないのか…全く理解できない。

 

そういうことを盗まれて情報求!的なツイートをを見るたびに思うんだけど、本当に何を考えてるんや…

 

たかが40万です。そのくらいでセキュリティ専門店で各メーカーの最上級モデルを入れれます。真っ先にちゃんとセキュリティ入れてください…本当に。

 

車を持つにあたってこの辺りは調べに調べました。純正は役に立たないこと、ハンドルロック等のロック系は簡単に解除できてしまうこと、GPSは屋内に入れられちゃ無用の長物になってしまうこと。(最も、ゴリゴリにつけてればそれだけ解除に時間がかかるので避けられやすくはなります)

 

結局、昔ながらのイモビ式の社外セキュリティを専門店のノウハウで入れてもらうのが一番です。

 

3ペダル車ならまず盗まれません。だってエンジンかからないからね。押し掛けでもかからない。データ的には自走での盗難が一番なので、エンジンをかけられないことが一番大切です。

 

996後期 排気系の問題

996後期に限らずだが、リアエンジンの911は総じて排気音が大きい。

993から996になった時も(空冷から水冷になった時も)エンジンの騒音の問題が転換要因の1つであった、と聞いたことがある。

 

で、今回問題になっているのはまさにウチの子の車検。

 

うちのは現車渡しで購入したやつで、買った時から社外のXパイプwithスポーツ触媒が装着されており、購入後すぐに実施した12か月点検でも車検不適合を告げられていた。

 

しかも、タイコもボロボロで錆まみれという状態で、タイコも要交換ですとの回答。まぁ錆落として溶接し直せば使えないこともないと思うけど、素人目に見てもかなり怪しい状態だったので交換することに。

 

結果、車検までに触媒とタイコを全部集めることになったわけだが・・・

 

ここからが地獄だった。

 

まず、ヤフオクに全然触媒の出品がありません。これは調べれば分かるけどここ数年は年間片手で数えられるくらいしか出てないです。空冷は意外とあったりするんだけどね。あとは割と新しいモデル。

 

でも996に関して言うと全然出ません。2021年は結構出てて、貴重な後期4穴の触媒まで出てました。もちろん参戦したけど15万くらいまで行っちゃったのであえなく諦めることに・・・

実は996の触媒は新品で34万くらいなので20万とか出すなら経年劣化などを加味すると新品買ったほうがいいと思います。

 

結局僕が手に入れられたのは2穴の中後期用触媒でしたとさ。4穴化加工が必要ですね。

 

そしてタイコも実は似たようなもので、車検に文句なしで通るレベルの程度の出品はあんまりなかったりする。僕も2022年に入ってからやっと手に入れられたので社外パーツ満載の996を買う人は覚悟してください。

 

ちなみにですがヤフオク以外にも買えるところはあります。ありますが・・・めちゃくちゃ吹っ掛けれらるので最終手段にしましょう。20年前の車の程度がよくわからないタイコが片側8万とか触媒も片側10万とかありえない額を告げられます。まぁ供給が少ないので仕方ないんですが。

 

で、ここまで読んだ人なら疑問に思う人もいるはず。「なんで純正にこだわるの?」って。

 

この辺りは国産90sとは明確に違う問題があるので説明します。

 

まず、社外部品が絶望的です。これはもう仕方がないしこれに尽きるとも言える。空冷みたいにオリジナルを維持したい!みたいな需要って996だとそこまで多数派じゃないから、社外部品に交換したい=音をよくしたいとかパワーアップを図りたいとかそんな理由が多数派になる。だから純正相当のパーツがない。911の中でも割と新しい方なのでまだ純正が生きてるってことも理由の一つかも。

 

だから、調べててエンジンチェックランプがつかないスポーツ触媒です!みたいなのは発見できたけど、タイコは無かった。(エンジンチェックランプが付かない=十分な浄化性能があるということなので、排ガス検査はパスできるかと)

 

でも、一番問題なのは音量検査だったりする。

 

冒頭でも述べたとおり、リアエンジンの911は総じてかなりうるさい方。リアエンジンだから規制も若干緩くて100dBまではセーフなんですが純正でも結構ギリギリ。だから抜けがよくなるスポーツ触媒とか社外のタイコは付けた瞬間もうアウト。音量の問題と社外の純正並部品の少なさ。その辺りが純正に帰結する理由。

 

その点、国産90sはそもそもの規制値がまだ緩かった時代なのでスポーツ触媒付けようが社外エキゾーストだろうが割と何とかなったりする面があるのは確か。扱いなれたショップさんも数多く存在している上に車検対応スポーツ触媒なんていうものもあったりする至れり尽くせりな状況。そりゃ社外でも問題ないですって。

 

だけど911はそうもいかない。慣れてる店も少ない中でユーザー車検じゃなく代行お願いをするのならば・・・なるべく手を煩わせないように配慮するのも必要だと思います。やろうと思えば音量を抑える方法はあるし触媒だって上述の社外品を使えば検査をパスできるでしょう。しかしながら必要な労力とコストを考えると車検時純正戻しが妥当なんですよね。(多くの国産チューニングカー乗りもそうだと思いますが)

 

というわけでこれから911を買う人は純正の排気系が付いているかは必ず確認しましょう。マジで面倒です。特に探すのが厳しいと思うのは

 

・996カレラ系全部:なんか知らんけど出品が少ない

・997カレラ後期:そもそもの生産台数が少ないので

・上記以外の水冷ターボ・GT系:そもそもの生産台数ががが

 

以上の3種類かな。空冷は知りません。出品あっても経年でボロボロなので新品がいいです。

 

逆に最新に近いようなモデルは結構数出てます。しかも安い。996カレラ系より全然安い。なので997前期カレラもしくは991以降の人はそんなに気にしなくてもいいかと。だけど純正の排気系は必ず確保したほうがいいです。(インチキ車検するならどうでもいいんだけどね。でもこういう車だからこそちゃんとした合法状態で通したいじゃん?)

 

おわり

996後期 O2センサーについて

996型のO2センサーについて・・・

ネット上だと「前期は2コ、後期は4コ」っていうのが定説になっている、と思う。少なくとも自分が調べる限りは。

だけど、実際はそうではない。以下を参照してほしい。

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画像は、後期型カレラ系の触媒の品番のところ。赤丸で示したようにM661と記載がある部品とそうでない部品があると思う。

 

このM661とは何か?

 

調べれば出てくるけど、「Stricter emission-control concept」、強化された排ガス制御コンセプトというオプションコードのこと。

 

で、確証がないのが非常に申し訳ないのだが、このオプションの有無がO2センサーの数に関係していると推測できる。というのも僕の03カレラ4はこのオプション付で実際に4コついていることを確認できた一方、とある02カレラには2コしかついていないということが確認できたから。

 

というわけで、同じ後期にも2コのやつと4コのやつがあるというのは間違いないと思う。

 

皆さんも交換時には後期だからと言って何も調べずに4コ購入するのではなく、実際に下回りをのぞいたりして確証を得てから発注しましょう。

 

おわり

996カレラ4の納車から1年経って

新卒1年目でポルシェを買うという暴挙から1年経っての所感

 

①調子

今のところすごく良い。唯一、運転席側のドア開閉時にウィンドウが下がりきらずにドア開閉ができなくなる時がある。年式、走行距離を考えると仕方ないかも。

 

②1年でかかった費用

維持費は大体70万くらい。保険、税金、ガス代、高速代など含む。これプラス車両のローン支払いがある。なのでそれ含めると計110万くらい。今年は車検もあるので+50万以上はかかる見込み。

 

③V8スワップいつやるの

エンジン本体でトラブルが出て、修理に結構お金がかかるってなった時かなと。今は円安でエンジン+載せ替えキットの輸入に200万以上するので今すぐなはない。ポルシェのエンジンをもう少し味わいたいってのもある。ネットでトラブル調べてると気が滅入りそうになるんだけど、この手の車は仕方ないね。第二世代Rとか国産旧車でもでも同じ位かかるでしょって感じ。

 

④1年乗った感想

買う前は買ったらなんか弄るだろうって思ってたけど、そういう欲が一切無かった1年でした。性能が僕の限界よりはるかに高いので、変えたいと思うところがないです。それよりも何かあった時や将来のV8スワップに向けて貯蓄しておきたいな~という感じ。

 

911が欲しい人に向けて

どの世代が欲しいかにもよりますが、996世代のカレラ系MTが欲しいなら今すぐ買ったほうがいいと思います。1年前より100万位相場が上がってるので。その結果として997前期カレラ系のATとほぼ同じ金額になりつつあります。目安としては安くても乗り出し400万くらいでしょうか。また、997前期のカレラ系は996同様のエンジン問題を抱えているのでよほどの理由がない限りおススメしないです。MTだと普通に500~600万くらいしますし。頑張って997後期のPDKを探したほうがいいと思います。

全体的に昨今の半導体不足による中古車価格の上昇やスポーツカーの値上がりのあおりを受けてる印象がありますね。

M96/97 シリンダー&ピストン齧り問題のあれ

表記の問題、どうしよ~ってこの数か月頭を悩ませてた。

といっても現状症状は出ていないし、今後も症状が出なければ問題ないと言えばないんだけど、下道をほぼ走らない(ストップ&ゴー回避)や走らせるのも夜間だけ(高速の渋滞回避兼夏場の熱対策)といったちまちました努力もしているので、出来ればそういう努力とか、悩みから解放されたいなと思っている。

 

というわけで、今回は具体的な対策を調べてきたので、将来問題が出た時に振り返れるようにまとめておこうと思う。

 

①純正アルミシリンダー除去&鋳鉄シリンダー打ち込み

日本で一番メジャーな方法がコレ。ポルシェチューンで有名なプロ〇デットのコンプリートエンジンもこれだし、その他の色んなショップさんでもやられているようでそれなりに実績がある。日本で、日本の技術で修理するなら多分これ以外の方法は費用面で非現実的だと思う。

上記のコンプリートエンジンは本体200万+工賃で大体250~300見とけばいいと思う。(以前見た時は100+α位の金額だった記憶がありますが…コンプリートエンジンなので他にもノウハウがあると思います。多分。)その他のショップなら多分そこまでかからないと思われ。なんでってやってることは大したことが無いから。シリンダー削って鋳鉄のシリンダーを新しく圧入してボーリングするだけ。

ただ、この方法の問題は完全な解決策ではないと思われること。シリンダーとピストンが齧るという事象に対する解決策じゃなくてあくまで対症療法でしかない。鋳鉄のシリンダーにしてシリンダー剛性を上げ、変形を抑えたとしても、ただの鉄シリンダーなので普通に摩耗します。なので遅かれ早かれまた同じ現象が起きる可能性がある。でももっとヤバいと思うのがアルミと鉄の熱伝導率を考慮していない方法であること。元々熱管理に問題があるエンジンに熱伝導率がさらに低い鉄シリンダーを入れるということがよくない。熱が厳しい456番バンクが鉄シリンダー化によってどうなっているか…正直想像もしたくない。

※ちなみに、最近のエンジンで鋳鉄のスリーブが鋳込まれていたり、鋳鉄のエンジンブロックが殆ど無いのは、上記の熱の問題や耐久性が原因。アルミの方が熱伝導率が高いので熱管理がしやすく、またメッキ技術の進歩でアルミのメッキシリンダーの方が耐久性が高くなっています(キチンと管理されていれば)。また、熱伝導率だけじゃなくて熱膨張率もアルミと鉄では違うので、アルミブロックに鉄スリーブの組み合わせだと最終的にガタガタになってスリーブが抜けます。カワサキのZ1なんかがそう。最近だとスリーブの地肌をザラザラにした上で鋳込んでいるのでそんな問題は出ませんが。逆に言うとM96/97の修理では単純な圧入なので将来的にガタが出る可能性が高い。

 

②純正アルミシリンダー除去&アルミニカジルメッキシリンダー打ち込み

これは日本ではやっていない方法。具体的にはアメリカのLNエンジニアリングが提供している修理方法。

LN Engineering - Performance Aircooled Cylinders, IMS Bearing Retrofit Solution, Porsche® engine upgrades

サイトを見ればわかるけど、日本でやってるような伝統的な修理方法じゃなくてちゃんと理論にのっとった修理方法なのが分かる。ポルシェ純正のアルシルメッキでは地肌がアルミであり、ピストンとシリンダー共にアルミなのが災いして互いに削れまくるのだが、ニカジルメッキは地肌がニッケルなのでアルシルとは比較にならない程摩耗に強い。問題を克服した!と書いてあるのが気になるが、鋳鉄のシリンダーに打ち換えるより優れた手法だと思う。打ち換えられたブロックが大体ピストン&コンロッド込みで5000ドル程度なのも強い。日本で、日本の技術で修理するより断然安上がりになると思う。

ただ、この方法も問題を完全に克服できているとは言い難いと思う。アルミシリンダーなので純正同等の熱管理性があるのは良いし、油膜さえ切れなければ半永久的な耐久性があるのも良い。だけど、根本的に熱的に厳しくなる原因に対してのアプローチは何も無いので、最終的には同じ問題が出てしまうと思う。何年かかるのかは分からないけどね…。

個人的には、M96を積み続けるならこの手法で決まり。鋳鉄スリーブはコスト的にも耐久性的にも疑問符がつくので。

 

③シボレーLSシリーズスワップ

自分がやるならもう絶対コレ。確かにフラット6サウンドを手放すのは痛いしポルシェエンジンという肩書を捨てるのも痛い。それでも将来的な発展性を考えるとコレしかない。ちなみにレネゲードハイブリッドというショップが既に載せ替えキットを販売しているのでワンオフな部分はそんなに必要ないです。

Renegade Hybrids

キット全部で大体1万ドル、クレートエンジンが8000ドルと考えると輸入して日本のショップにお願いする工賃諸々考えても3~4万ドルで実現可能だと思う。となると①の日本で日本の技術で修理するのメリットって多少安いのとポルシェの純血を守れること位になる。そうなるとそもそも欠陥のあるM96を積み続けて問題の発生にびくびくするよりかは、パーツもノウハウも豊富なLSに積み替えた方が良いんじゃ?ってアメリカ人も考えた結果が上記のキット。

問題はスワップの作業を請け負ってくれる店があるかっていう点と実際の費用といったところ。少なくとも一番安価な修理方法じゃないのと、日本でやったっていうのもまだ見たことが無いぽいからね(空冷はあるけど水冷は未確認)。だけどそんな課題を覆すくらいのメリットがある。エンジン単体の耐久性に加え、チューニングへの適性の高さ。これはM96と比べて天と地ほどの差がある。費用の高さや燃費の悪さと引き換えにしても、やっぱLSスワップしか無いなと思ってる。

 

以上が2021年11月時点での個人的M96/97の修理まとめ。多分他は無いと思う。